退職すると決めた人が行う準備と注意点

退職の準備

辞表を出す前の注意点

 会社を辞めると決めたものの、何から手を付ければ良いのか?そんな人も多いと思います。

ここでは大手転職サイトに書かれているようなありきたりの事ではなく、もっとリアルで切実に考え

なければならない問題について話をしたいと思います。

まず、退職を決めたからといっていきなり辞表を提出してはいけません。

まずは自分の置かれている状況を冷静に把握しましょう。

又、人によって退職時の環境はそれぞれ異なる為、あくまで「まだ次の転職先が何も決まっていない

(急いで退職する必要がない)」という条件で話を進めさせて頂きます。

有給休暇の残日数を確認する

 まずは自分の有給休暇残日数を確認しましょう。ここでは分かりやすくするために有休残日数を30日

と仮定致します。そして5月31日を最終出勤日、6月1日から有休消化に入るとしましょう。

そうなると「退職日は(有休を30日消化した後となるので)6月30日ですか」と思う方もいるかと思い

ますが、実際はもう少し後ろにずれます。

理由は「有休消化中も別途【公休日】が加算されるから」です。

例えばあなたの会社では【月の公休日が8回】と定められているとしましょう。そうすると6月の内訳は

「公休8回+有休22回」となるのです。そして7月は「公休2回+有休8回」となり、結果的にあなたの

退職日は7月10日となる訳です。

1ヵ月の公休回数や正確な退職日の算定基準等は、各社の就業規則によって異なると思いますので必ず

事前に人事部へ確認する事をお勧め致します。又、「正確な退職日」はあなたの最終給与だけでなく、

それ以外でも様々な事柄に関係してくるため、必ず把握しておきましょう。

有給休暇 補足

「退職時に限り、有給休暇を会社が買い取ってくれる制度」を設けている会社もあります。

なぜなら退職後は、労働者が有給休暇の時期を指定する権利を行使することができないからです。

最終出勤日からすぐに次の就職が決まっており、有給休暇を消化している余裕が無い場合、この制度を

確認してみてはいかがでしょうか?

但し、雇用主にとって有給休暇の買い取りは義務ではありません。

退職金を確認する

 こちらも非常に重要な項目です。あなたがすでに潤沢な貯蓄を築いておられるなら良いですが、もし

そうでなければ、退職金はあなたが退職した後の生命線の一つとなります。

退職金の算定方法は会社によって様々であり、勤続年数だけでなく会社都合や自己都合等、退職の仕方

によっても差が設けられているのが一般的です。

先にも述べましたように正確な退職日を把握する事で、「あと1ヵ月退職を遅らせれば勤続年数が1年

加算され、退職金も多くもらえていた」という取りこぼしを防ぐ事にも繋がります。

基本的に退職金は最終出勤日ではなく、退職日を基準に算定される事が多いと思います。又、勤続年数

は端数切り上げで計算してくれる会社も少なくありません。つまり、「4月1日入社・翌年3月31日退職

なら勤続年数=1年」、「4月1日入社・翌年4月1日退職なら勤続年数=2年」といった形です。

たった1日で勤続年数・退職金に大きな差が出る会社もあるのですから、やはり正確な退職日や退職金の

算定ルールは事前に確認しておくべきだと言えます。

自分の生活費を棚卸する

 会社を辞めるとなると収入が絶たれるのでまずは現状の生活費(出費)を棚卸する事が必要です。

その上でどの経費を削減出来るのかをあらかじめ決めておく事が大切です。

社宅住まいの方も「退職後は実家に帰る」という人は問題ありませんが、自分で賃貸物件を借りる方は

毎月の賃料も見据えて生活費のシミュレーションをしておかなければなりません。

会社に勤務していた時は自動で口座引き落としだったから一度も見る事のなかった光熱費の内訳や

携帯電話の料金内訳も、よく見ればまだまだ削減できる項目があるかもしれません。街中への買い物も

これまでは会社から支給されていた交通費(定期券)の併用で少なからず浮いていたものも、会社を

辞めて定期券も無くなると全ては自費となります。社用車を私用で使う事が出来ていた人も同様です。

毎月の必要最低限の生活費を正しく認識する事で、仮に貯金を切り崩して無収入の生活を送るとなった

場合でも、何ヵ月持つかをシミュレーションしておく事が大切です。

固定費の見直し~家賃編~

 生活費の棚卸で最も重くのしかかっているのおそらく家賃ではないでしょうか。

会社を辞め、当面安定した収入が得られない環境であるなら少しでも安い賃料の所に引っ越すことが

賢明と言えます。

しかし、賃貸物件の場合、無職とあっては保証会社の審査に通らない可能性もあります。

もしも現在より安い賃料の所へ引っ越しが必要な場合、在職中に物件を探し、引っ越しを済ませて

おいた方が後々楽になるかもしれません。

この時の注意点は「あなたが最終出勤日を迎えるまでに保証会社の審査をパスするスケジュールで動く

こと」です。

最終出勤日を経て有給休暇に入った(実質的には在籍している)としても、その時点で保証会社からの

連絡が会社に入ってしまうと「〇〇さんは退職されました」と伝えられる可能性があるからです。

こうなってしまっては元も子もありません。

厳しい事を言いますが、日頃私達が当たり前に作っているクレジットカードやローンの審査は私達に

信用があるから通るのではありません。私達が所属している会社に信用があるからこそ審査に通り、

カードを作ったりお金を借りたりする事が出来るのです。

固定費の見直し~自家用車編~

 家賃の次に重たい固定費と言えばやはり車では無いでしょうか。

定期的に訪れる車検代や毎年の自動車税、月々のガソリン代等、車のグレードによって掛かる費用は

様々ですが、やはり会社を辞めて安定した収入が得られないとなると見直したい所ではあります。

例えば排気量3ℓ車でガソリンもハイオクであるなら維持費も非常に高額です。又、維持費は自動車税や

車検代だけではありません。消耗品であるタイヤやバッテリー、洗車の手間も含めると排気量の小さい

車種に乗り換える事で様々なコストダウンを図る事が可能です。もちろん思い切って車を手放す選択肢

もありますが、どうしても車が必要な人も多いと思います。

かと言って一括で車を買い替える余裕はなく、ローンで支払うしかない場合、やはりここでも審査の

問題が出てきます。そう考えるとやはり会社を辞める前(最終出勤日まで)にローンの審査を通して

おく事が賢明と言えます。

クレジットカードの作成について

 クレジットカードは決して無理やり作る必要はありませんが、もしもあなたがまだ1枚も持っておらず

しばらく定職にも就かないのであるなら1枚くらいは作っておいても良いかもしれません。

現代においては現金払いよりカードで支払った方がポイントも付与され、結果的に安く買い物が出来

たり、様々なメリットも多いカードが多種多様に存在するからです。

例えば「毎月5の付く日はポイント〇倍」等、ポイント還元を上手く活用すれば退職後の支出も大きく

抑える事が可能となり、あなたの強力な味方となります。又、急場を凌ぐため必要になってくる支払い

もあるかもしれません。そんな時にあなたを守ってくれる1枚になるかもしれないのです。

もちろん、クレジットカードで支払いをすれば後に請求が来るのでそれまでには支払い準備が必要と

なりますのでご利用にあたっては計画的に使う必要があります。

前述の賃貸物件の保証や車のローン等と同様、会社に所属している間、少なからず私達は会社の信用の

恩恵を受けております。無職でもクレジットカードが作れる審査の甘い会社もありますが、今後の自分

の経済圏に合ったカードを作るのであれば会社を辞める前に作っておく事をお勧めします。

体調不良の人は病院に行っておく

 これはあなたが何らかの病気(例:ストレスによる精神疾患等)を患い、すでに就労不可、または

すぐに就労が出来ない状況の場合に必要な準備です。

詳しくは別途記事にて書きますが、ここでは要点のみ簡潔に述べさせて頂きます。

あなたが会社に所属しているのなら社会保険に加入していると思います。その中で「傷病手当金制度」

というものがあります。要約すると「業務上以外での怪我や病気で働く事が出来なくなった場合、給与

のおよそ3分の2を国が支給してくれる制度」です(最大1年6か月間支給)

※業務上での怪我や病気は労災が適用されますのでご注意下さい。

※ここではあくまで業務以外での怪我や病気による休業について説明をさせて頂きます。

傷病手当金の支給を受けるには条件があります。

  • 業務上以外での事由による病気や怪我の療養のための休業である事。
  • 1年以上継続して健康保険に加入している事。
  • 医師から就労不可の診断を受けている事。
  • 連続3日間の待期期間を経て、4日以上 仕事が出来なかった事。
  • 休業期間中、給与の支払いが受けられなかった事。

これらは在職期間中にしか証明出来ない事であり、退職後に病院(初診)へ行ってもその後の申請は

無効(不支給)となります。なぜなら医師は初診より日付を遡って就労不可の診断を証明する事は

出来ないからです。

例えあなたが退職日直前に4日以上連続で休み、後から「当時は就労不可の状況であった」と言っても

医師は最短でも初診日以降の日付でしか就労不可の診断は下せないのです。

詳細は傷病手当金に関する専門のサイトで検索すると、様々な解説が出てきますので参考までに。

いかがだったでしょうか?

一口に退職と言っても、実際に退職届を提出する前に様々な準備が必要な事はご理解頂けたのでは

ないでしょうか。大切な事は退職後の自分の生活をリアルに思い描く事です。

どこに住み、どんな生活をし、毎月どれくらいの支出があるのか?無収入でどれくらいの期間 普通の

生活が出来るか?

まずはそれらを全て洗い出し、情報を整理してからでも退職届は遅くはありません。

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